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第一回 そもそもワークフローとは何?

 
内部統制整備および業務処理コスト削減要求に伴い、業務処理改善の必要に迫られている昨今、ワークフローシステムを導入・検討している経営者やシステム担当者も多いかと思います。
しかし、コスト削減・業務の効率化などを重視し、現状業務の流れを単純にシステム化すれば良いのでしょうか。そもそもワークフローとは何なのでしょうか。システム化を検討されるその前に「ワークフロー」とは何か、本来どんなメリットを享受できるのかを知る必要があります。
本連載は、ワークフローシステム導入にあたり、「ワークフローとは何か」、「どうあるべきか」についてリコーの考え方を3回のシリーズで紹介します。
ワークフロー導入のヒントになれば幸いです。

第1回の今回は、「ワークフロー」の本来の意義を考えていきたいと思います。

ワークフローとは

ワークフローとは、流れ図などを用いて、業務の一連の処理手続きを定義すること、またその業務の一連の流れを指します。情報(文書、データ等)が各業務プロセスに円滑に受け渡しされることを目的としています。

具体的には、ある業務において複数の人が関わる一連の作業の流れを記述します。その記述した流れを図式化し、各作業の手続きおよび役割分担を記述します。流れと手続きを記述することで各作業者の間を流通する情報(文書、データ等)を明らかにできます。
作業全体の流れを見える化ですることにより、作業の進捗や問題点を把握できます。

一般的に、「ワークフロー」と「ワークフローシステム」を混同して表現される傾向がありますが、本連載では下記の通り定義します。
【ワークフロー】
  • 業務手続の流れ、その一連の流れを図式化したもの
【ワークフローシステム】
  • ワークフローの図式を事務処理の流れとしてコンピューターに組み入れたもの、自動化し業務の円滑化を目的にしたもの

ワークフローがもたらすメリット

業務の一連の処理手続きを定義することの効果は、流れ図により業務が可視化される点にあります。
可視化されることで業務の進行状況や問題点(無駄な処理、価値を生まない処理等)を把握することができます。また業務処理や伝票処理を図式化して、業務の非効率な処理手続の改善を検討できます(ワークフロー分析)。

「ワークフロー」の具体的メリット

  1. 作業の凡ミス防止できる
    いつ誰が何をしなければいけないかを明示することで、業務手続が円滑に行われるようになります。
  2. 業務処理に必要な文書を明確化できる
    明示した作業手順により、必要文書等が明らかになります。
  3. 作業の進捗管理を容易になる
    作業進捗が明白になるため、何か問題があった場合の原因追求が容易にできます。
  4. 業務の効率化を推進できる
    業務を可視化することで、実作業時間の短縮・効率化に向けた検討材料になります。
ワークフローを設計する前と後で業務処理がどのように改善されるのか、経費精算処理を例に挙げてみます。
【実施前】
  • 経費精算申請書類はあるが、作成要綱が明確に存在しないため、精算する勘定科目ごとに異なる必須記入事項がわからず、書類作成に時間を費やしてしまう。
  • 誰に回覧すべきか明確でなく、当該書類がスムースに次工程に流すことができない。(混沌)
【実施後】
  • 書類作成時のマニュアルが整備され、精算する勘定科目ごとの書式や必須記入事項が明確になり、必要な人は誰でも容易に作成ができる。
  • 回覧すべき承認経路と文書の流れが図式化され、流れに沿って業務が効率的に行われる。(整然)
このようにワークフローを設計することで、業務の流れを「混沌」とした状態から「整然」とした状態へ変えることができます。

紙文書から電子文書への流れ

上記のメリットより、「ワークフロー」の重要性について、理解を深めていただけたかと思います。
では、次にワークフロー運用について考えてみます。
多くの企業では、紙文書によるワークフローが運用されています。
紙文書での運用のメリットは、
  • 承認証憑としての証拠能力を持たせやすい
  • 一覧性が高い(情報の比較や流し読みができる)
  • 時系列に綴じておけば経過をたどることができる
  • 手軽に持ち運ぶことができる
などがあります。
しかしその反面、以下の弱みがあることにも注意が必要です。
  • 保管場所が必要になる
  • 流通・伝達に時間がかかる
  • 既存文書を流用できず、記入の簡略化ができない
  • 検索性にかける
  • 整理・保管に手間がかかる
ワークフローの良さを活かし、これらの弱みを補うために紙文書の電子化を前提としたワークフローシステムを構築して、より効果的で効率的な業務手続を実現しようとする企業が増えています。

しかし、単純に紙文書を電子文書に置き換えるだけでは、適切なワークフローの運用は行えません。電子文書によるワークフロー運用は、紙文書以上に管理ルールの整備と徹底が重要になります。電子文書は紙文書に比べ共有や流通が容易にできます。しかし容易に行える分、データの改ざんや情報流出のリスクが増大します。電子文書の特性を理解した上で、運用・管理ルールを十分に検討することが電子化を進める上で重要なポイントになります。

内部統制にみるワークフロー

「ワークフロー」の活用の代表的なものに内部統制が挙げられます。
内部統制の業務処理統制に対応するため「ワークフローシステム」を導入・構築する企業が多く見受けられます。

内部統制は、6つの要素で定義されています。その中の一つに「ITへの対応・業務処理統制」があります。
業務処理統制とは、「業務実行が権限者に承認される」「承認を受けた業務が適正に実行される」「実行内容が適正にデータベースに記録される」といった一連の実行管理が、ITによって業務プロセスに組み込みこまれて処理が行われることです。
つまりこの業務処理統制には、ITの利用が前提とされているのです。
これを受けて業務処理統制評価にワークフローシステムを導入し、活用する動きが増えています。
しかし、業務処理統制への対応を優先し、今ある紙による業務の流れや承認ルートを単純にそのまま「ワークフロー」設計に反映しシステム化してしまうと、先ほど述べたように、「ワークフローシステム」導入で得られる本来のメリットが享受できないことがあります。
実際に「ワークフローをシステム化したが、複雑な承認経路をそのまま実現させたため、仕様が増大し、カスタマイズ費用が膨らみ、業務効率も悪くなった」という事例が少なからずあります。
システム化を成功させるためには、「ワークフロー」設計の前に、現状の業務の流れが、果たして業務目的に合致しているのか、効率的なのか、無駄・無理な作業が潜んでいないのか等、業務課題及び現場運用課題の観点から見直すことが重要なポイントとなります。(システム化の問題については次回以降で説明します。)
今回、「ワークフロー」とは、そもそも何かという観点からお話させていただきました。
何事もまず、言葉の定義が大切です。「ワークフロー」について共通の認識をもった上で、次回以降、話を進めたいと思います。

次回は、ワークフローのシステム化について、ワークフローの本来の目的、何のために整備するのか、何故運用がうまく回らないのかなどを中心に説明します。