第4回 スマートグリッドの標準化と市場の動向

 
第4回は、「スマートグリッド技術の標準化への取り組み」と「スマートグリッドが形成する市場見込み」について、スマートグリッドを先駆的に導入している米国の動向より紹介します。

スマートグリッドの標準化

スマートグリッドは電力会社と消費者や企業を結ぶインフラであるため、技術の標準化は避けて通れません。
米国では、全米の各州でスマートグリッドの導入が進みつつある中、スマートグリッドに係わる技術標準への関心が高まっています。経済対策法の執行段階に入り、スマートグリッド関連企業で各社各様の標準が導入されることになれば、全国で地域電力会社によって代替性の無い製品・サービスを利用せざるを得なくなります。また、全国統一の電力システムの運用が困難になりかねません。
そのため、スマートグリッドを構成する機器・システム間での相互運用可能性の確立を目指した標準作りは喫緊の課題となっています。米国エネルギー省のチュー長官は「スマートグリッドの普及に必要なのは技術自体ではなく、政策と標準である」とその重要性を強調しています。
標準化への取り組み状況は、経済対策法でエネルギー省に割り当てられた予算のうち10百万ドル(9億円)を活用して商務省*1傘下で標準化を任務とするNIST*2が2010年度の夏を目処に、標準化に取り組んでいます。
日本でもスマートグリッドの国際標準化を目指し、経済産業省は日本企業が強みを持つ標準化が必要な26種類の重要技術を選び出し、国際電気標準会議などに提案しています。
スマートグリッドの標準化については、米国・日本の他にも、欧州、中国が標準化に向けた取り組みを進めており、国際標準化への主導権について更に注目が集まりそうです。

*1.経済成長の促進に関わるアメリカ合衆国政府の官庁
*2.アメリカ合衆国の国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology)

サイバーセキュリティへの関心

米国の人気TVドラマでジャックバウワーが活躍する24(トエンティフォー)で電力網(グリッド)がテロの標的となり、電力網に係わるサイバーテロが現実のものになっていると感じた人が多かったのではないでしょうか。
現実に2009年4月に米国の電力グリッドに何者かが侵入されたと大きく報道され、スマートグリッドに係わるセキュリティへの関心が一段と高まりました。
米国では、重要インフラ保護の観点から国土安全保障省(DHS)の取りまとめのもと、規制基準の策定を行っています。
これを受けて電力グリッドの安全性の強化を図る法案が上下院に提出され、更に、当局によるサイバースパイに対する取り組みがスタートされました。
2009年3月に電力業界に対する規制機関であるFERCは、セキュリティと信頼性確保の観点から政策方針と活動計画を発表し関連ガイダンスを提示しています。
また米国エネルギー省は、スマートグリッドデモンストレーションプロジェクトへの投資を発表しました。プロジェクトでは、スマートグリッドの利点や費用効果に関するデータを収集すると同時に、次世代サイバーセキュリティに関する試験などを行いデータ収集し、セキュリティ対応も含め技術の標準化へ取り組んでいます。
日本でも、経済産業省所管独立行政法人がスマートグリッド研究に興味を持つ民間企業を募り、日米スマートグリッド共同研究を実施しスマートグリッドに関するデータの取得やサイバーセキュリティに関する研究を行っています。

スマートメーターを巡る市場見込み

直近の経済活動に大きな影響を与え可能性のあるスマートメーターの市場動向はどうなっているのでしょうか。
米国では、経済対策法で45億ドルがスマートグリッドに予算配分され、これをきっかけにスマートグリッド関連市場は約60億ドルの市場規模になっています。
今後は年率21%での拡大が予想され、2014年までに170億ドル(1兆5,300億円)に拡大すると見込まれています。2030年には10,000億ドル(9兆円)に増大すると言われていま
す。
またスマートグリッド構築の鍵を握るスマートメーターは、その設置数を2009年の550万台から2012年には1,900万台になると予想されており、急拡大が見込まれています。
米国だけでもこれだけの巨大な市場が形成と予想されおり、それが世界規模となると乗り遅れてはいけない市場が形成されるのは間違いありません。日本企業も素早い市場参入が望まれることになります。

これからも、スマートグリッドビジネスの動向を注視するようにしましょう。
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